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物流危機脱却の大きな「切り札」。持続的なサプライチェーンに貨物鉄道が欠かせない理由
古くは国内物流の主役の座にあった貨物鉄道。トラック輸送の台頭で存在感が薄れたイメージが強かったが、今再び、「持続可能な物流」の手段として、かつてないレベルで熱い視線を集めている。なぜ「貨物鉄道の復権」が欠かせないのか。その理由をひもとく。

過去最大の「追い風」。貨物鉄道にかつてないほどの期待が集まる理由
いよいよ本格化するドライバー不足――。将来にわたって持続可能な物流を構築するためには、トラックだけに依存した物流体系ではもはや限界だ。輸送の一部を貨物鉄道に切り替えるモーダルコンビネーションが、最適な選択肢として浮上しようとしている。

貨物鉄道輸送に強烈な追い風。カーボンニュートラルと「2024年問題」解決の切り札となるか
物流業界がトラック輸送の「2024年問題」を乗り越えるための鍵の一つは、JR貨物が物流の担い手として、これまで以上に役割を発揮していくことだ。そのためには、鉄道輸送が持つ“強み”をより確かなものにすると同時に、長年の課題である“弱み”を克服することが不可欠となる。

競争から協調へ、物流のSDGs実現に向けてJR貨物が担う「持続可能な物流」のかたち
「鉄道を基軸とした総合物流企業グループの実現」を長期ビジョンに掲げる日本貨物鉄道(JR貨物)。環境特性と労働生産性に優れた鉄道輸送の特性を生かしつつ、トラックなど他の輸送モードとの連携を強めることで、高い社会価値の提供を目指す。キーワードとなるのは、モーダルシフトを超えた”モーダルコンビネーション”だ。

モーダルシフトの大きなうねり「鉄道貨物」が起こす国内物流の地殻変動
ドライバーの人手不足などにより「モノが運べない」という物流問題が急浮上、事態が深刻化している。そこでトラック依存から脱却する手段として、輸送を鉄道に切り替える「モーダルシフト」が推進されている。その機能を担える日本で唯一の企業が日本貨物鉄道(JR貨物)だ。今後どのような戦略でモーダルシフトを支えるのか。大胆な社内改革を断行、その経営手腕にも注目が集まる石田忠正会長に聞いた。(取材・文/『カーゴニュース』編集長 西村旦)鉄道貨物は日本の物流のかたちをどう変えていくのか「モノが運べなくなる」構造的課題 いま、国内物流の現場で地殻変動が起きている。 長らく貨物輸送量の9割以上を運んできたトラック輸送がドライバー不足という構造問題に直面。メーカーなどの荷主企業では「モノが運べなくなる」ことへの危機感がにわかに高まっている。製販のサプライチェーンをつなぐ物流機能の不全が経済活動に及ぼす影響は大きく、産業界ではいま、輸送手段をトラックから他の輸送機関に移す「モーダルシフト」の機運が高まっている。 そうした状況下、物流の担い手として再び脚光を浴びているのが鉄道貨物輸送であり、その機能を引き受ける唯一の存在がJR貨物だ。JR貨物会長・石田忠正/1968年日本郵船入社、2004年同副社長、07年日本貨物航空社長を経て13年日本貨物鉄道会長就任。 同社は2013年6月、日本郵船(NYK)副社長や日本貨物航空(NCA)社長を務めた石田忠正氏を会長に招聘。同氏主導のもと、民間手法を大胆に採り入れた経営改革に着手した。 石田氏は、海運・航空に続き、陸運の経営にも携わることとなったが、その直前の数年は、大病院の経営再建にも取組み、ここでも黒字化を実現している。 就任以来2年、成果が徐々に表れ始め、関係者からは「JR貨物は変わった」との評価が多く聞こえるようになってきた。石田氏は「改革はまだ道半ば。だが、鉄道貨物の将来はしっかりと見えてきた」と確かな手応えを語る。 モーダルシフトの大きなうねりと経営改革――。その「内と外」の変革の先に見据えるのは「鉄道貨物の復権」だ。数十年ぶりに高まる鉄道への期待 戦前、戦後を通じて国内物流の5割以上を担ってきた鉄道貨物輸送。それが1960年代に入り、モータリゼーションの進展や国鉄ストの頻発などにより輸送シェアは凋落の一途を辿り、国鉄改革でJR貨物が誕生した以降も1ケタ台に低迷を続けてきた。 それがここにきて、改めて注目を浴びる存在に浮上してきた。その直接的なきっかけとなったのが少子高齢化などを背景としたトラックドライバー不足の深刻化。ドライバー不足は以前からその兆候が指摘されていたが、一昨年の消費増税前の駆け込み需要による貨物量の急増で不安が一気に顕在化した。 石田氏は「この1~2年で明らかに潮目が変わり、貨物鉄道への評価や期待が数十年ぶりに高まっている。日本の物流体系は、もともと諸外国に比べトラックというひとつの輸送モードに偏重し過ぎており、そのことで無理が生じていた。それが労働力不足という構造的な問題に加え、ドライバーの就労規制の強化などにより一気に限界を超えてしまった」と指摘する。 物流は経済の大動脈であり、モノがスムーズに流れないことは経済活動の大きなボトルネックとなる。国としてもこうした問題を重く受け止め、国土交通省では今春、交通政策審議会に物流部会を設け、モーダルシフト推進を含めた国内物流体系の見直しについて、官民あげての本格的検討を開始した。

JR貨物が構築する「物流効率化の新機軸」
国をあげたモーダルシフト推進により、実際の物流現場でも、メーカー各社が商品輸送に専用貨物列車を活用するなど鉄道シフトの動きが拡大してきた。貨物ニーズの高まりを受け、JR貨物は「日本企業の新たな物流戦略」を構築している。(取材・文/『カーゴニュース』編集長 西村旦)「運賃」「ダイヤ」などの商品づくりをテコ入れ。企業の物流効率化ニーズに応える「鉄道を軸に」。荷主企業の変化「鉄道貨物への期待度の高まりをひしひしと感じる」――そう語るのはJR貨物の営業部門を統括する真貝康一・取締役兼執行役員(鉄道ロジスティクス本部営業統括部長・営業部長)。以前は鉄道貨物の認知度がまだ低く、営業しても反応が乏しいことも少なくなかった。JR貨物取締役・真貝康一/1978年日本興業銀行入行、2003年みずほコーポレート銀行証券部長などを経て07年日本貨物鉄道事業開発本部グループ戦略部担当部長。15年同取締役兼執行役員鉄道ロジスティクス本部営業統括部長兼営業部長に就任。 しかし、いまは荷主企業を訪問すると、企業のトップが自らトラックドライバー不足の現状に危機感を持っており、提案に対して打てば響く反応を示してもらえることが増加。荷主企業の輸送に対するポリシーが変わってきたことを実感しているという。「これまでの国内物流は、あくまでトラック輸送を基軸にして、鉄道や海運を補完的に活用するという考え方だった。しかし最近では『まず可能なところは鉄道で』と、鉄道輸送を軸に考える企業が増えてきた」。 一般的に、鉄道貨物は輸送距離500キロメートルを超えるとトラック輸送に対するコスト競争力が出てくるといわれているが、最近では輸送距離300~400キロの中距離でも鉄道を利用しようという動きが増えているという。「トラック運賃が上昇してきたこともあり、以前は鉄道輸送の事業領域に入っていなかったところにまで対象が広がってきている」 事実、最近のJR貨物のコンテナ輸送実績は、トラック輸送の伸び率を上回る基調が続いている。8月の輸送実績は前年同月比3.8%増の187万トンで、品目別でみると、食料工業品が9.3%増、宅配便などのトラック貨物(積合わせ貨物)が13.3%と特に伸びが著しい。「食料工業品は夏場ということもあり、飲料やビールの出荷が大きく伸びた。また、積合せ貨物はまさにドライバー不足の影響から幹線輸送を鉄道にシフトする動きが鮮明に表れている。こうした品目は特に鉄道への適合性が高く、コストやリードタイムの面で折り合いがつきやすい」。 また、自治体などから出される一般廃棄物などエコ関連物資も14.8%と好調な伸びを示している。「コンテナが本来持っている密閉性の高さが評価され、自治体からの一般ゴミなどの鉄道シフトが順調に拡大している」。 とりわけ伸びが目立つのは上記3品目だが、鉄道の利用意欲は業種や品目を問わずおしなべて高い。それ以外の品目では、景気回復の遅れから生産量が低調に推移しているため伸び率としては目立たないが「それぞれの業界内での鉄道利用の比率は着実に増えている」という。