
素材のイノベーションを日本から 産学連携で未来のビジョンを
日本経済は「失われた30年」と言われ、デジタル化で成長を続ける米国に後れを取っている。中国や新興国が大きな成長を遂げる中、日本の産業競争力を高めるためには、イノベーションを生み出すためのエコシステムとして産学連携の変革が不可欠である。こうした課題を痛感して動き出したのが、東京大学とAGCである。東京大学は企業が安心して連携できる法的基盤を整え、国内外の企業と大型の産学連携を進めている。「東京大学国際オープンイノベーション機構」も設立し、AGCと同機構初となる大型共同研究を2019年に開始した。さらに2020年には、200億円の「東京大学FSI債」を発行し、独自の資金を得て新たな産学連携にもつながる大学としての基盤を整備している。今、求められている産業界とアカデミアの新たな連携について、東京大学・前総長の五神真氏とAGC株式会社 社長兼CEOの平井良典氏が対談した。